第1ターミナル(T1)のコンセプト
ユーザーフレンドリーでシンプルなターミナル
当社の考えるユニバーサルデザイン
- 誰にでも使いやすく快適である
- 空港は誰にでも開かれており、パブリックユースである
- 施設の適切な設計(ハード面)だけでなく現場の十分なサポート(ソフト面)の整備
ユニバーサルデザイン研究会
- 障害者団体(AJU)と研究会を設置
- さまざまな障害がある方や学識者から直接の意見を求めた
- 基本設計、実施設計、施工の各段階で意見を反映
- 成果は報告書として集約
- 開港後の検証も交えて、一般書籍として発刊(2007年)
お客様の動線
空港からの出発、空港への到着、送迎、見学等の様々なお客様の動きを無駄なく効率的に利用できるように施設の配置と通路を考えています。その中で、極力「障がいの有無にかかわらずすべてのお客様に同一の移動経路であること」を目指しています。お客様の意思を尊重し自立して移動を行えるようにしていますが、お手伝いを望まれるお客様には人によるサポートするしくみも用意しております。
スロープを取り入れた水平移動
交通機関を集約したアクセスプラザは、出発階(3階)・到着階(2階)の中間の高さに位置し、ゆるやかスロープで結び、段差をなくしています。他の場所も原則スロープなどで段差をなくしています。


短い歩行距離、または歩行補助装置による軽減
コンパクトに施設を配置することにより、歩行距離を短くしていますが、長くなってしまうところには、幅の広い「MSW(ムービング・サイド・ウォーク)」(動く歩道)を設置し、車椅子のお客様、歩行速度の違うお客様など、様々なお客様に対応をしています。
誰にも優しく安心の施設
基本設計の段階から、障がいのある方からのご意見や、実物大での実験を通して、使い易く、安全な施設・設備を用意しています。
エレベーター
ほとんどのエレベータがスルー型で、かご内で回転せず乗降できます。
また24人乗り以上の全てのエレベータについては、扉がかご室間口幅までフルオープンとなり、余裕のある乗降が可能です。それ以外にも当時の技術で、細かな部分にも配慮しています。
エスカレーター
水平部ステップを3枚にすることで、高齢者やお子様などバランスの取り難い方が感じる、乗降時の不安(ためらい)を軽減しています。また音声により乗降時の注意メッセージを案内しています。
MSW(ムービング・サイド・ウォーク)
乗降時の注意を音声で案内しています。特に降り場では、少し手前から音声案内を行い、降りる準備時間を設けるなど、細かな工夫もしています。
また、乗り間違いの無いようにガイドする、運転方向(進入禁止)表示器は、斜めからもよく見えるLEDにて設置しています。
降り場で快適に降りられるように、実験と検証を繰り返し、段差の少なく仕上げています。
トイレ
実物大の実験を繰り返し、手動車椅子のお客様、お荷物のあるお客様にも使用していただける広さを用意しております。特に車椅子のお客様も容易に開け閉めできる扉を採用しています。一般のトイレでも様々なお客様に利用いただけます。また火災時などの案内にも工夫をしています。
施工中の検証
水工事中や完成前に実物や工事現場で、障がいのあるの方含めて様々な方に参加していただき、ご意見をいただいて手直しなどをしています。
歩行の障害とならないかの検証


弱視者による床パターンの検証


完成前の動線の検証
出発動線の検証
到着動線の検証
その他の細やかな配慮
中部国際空港のユニバーサルデザインは、多岐に導入し、その検証も行っております。その詳細は書籍となっています。
書籍案内
「中部国際空港のユニバーサルデザイン」
プロセスからデザインの検証まで
発行:2007年7月30日
編集者:谷口 元、磯部 友彦、森崎 康宣、原 利明
発行所:鹿島出版会
住所:東京都中央区八重洲2-5-14
TEL:03-6202-5200
ISBN978-4-306-07259-6 C3052
官庁施設
開港時、日本で初めて車椅子使用者対応カウンターが導入されました。
「十分な介助や支援」→人による支援
すべてのお客様に気持ちよく利用していただくために、人による支援も行っております。案内所スタッフの支援に加え、開港時からボランティアを導入しており、きめ細かな支援を行っています。