2010年
最優秀賞 (1名)

豊田 将之さん
Canon EOS 40D
Sigma APO 50-500mm F4-6.3 EX DG/HSM
ISO200 1/500 f10.0
WB : 色温度6200K
補正 : Adobe Photoshop CS4にてトーンカーブ補正
撮影場所 : スカイデッキ。
優秀賞 (2名)
八木 和貴さん
Nikon D300
AF-S Nikkor 300mm F2.8D VR×1.4テレコン
ISO200 1/4 f4.0(開放)
WB : 太陽光
補正 : RAWで撮影、Nikon Capture Nxにて現像、トーンカーブにてノイズ処理、シャープネス、Adobe Photoshopにて最終トーンカーブ調整
撮影場所 : P3
伊藤久巳
飛行機の部品を運ぶ飛行機、747LCFを作者がこの機体を思う印象のままに切り取りました。背景に動いている機体をあしらったことで、この巨体だって飛ぶんだと作品が主張しています。
ルーク・オザワ
LCFを大胆に切り取るも誰もがわかるフレーミングは上手いです。バックに流れる機影を入れることで静の中に動を感じる作品ですね。
チャーリィ古庄
747LCFをメインにJAL機を流すという計算された作品で、薄暮の色を残す空の色も美しく表現されています。デッキ以外でも工夫次第で面白い絵が撮れることを教えてくれる作例だと思います。
磯貝 金彦さん
Nikon D3
AF24-120mm
ISO800 1/2 0.7段 F16
WB : 色温度4350
補正 : Nikon Capture NX2にて現像、Adobe Photoshopでサイズ加工、色微調整後、銀塩プリント
撮影場所 : スカイデッキ
伊藤久巳
夜のスカイデッキはまさにこんな雰囲気なんです。雨の日の路面の反射を見逃しませんでした。ほど良くスローシャッターを切り、人物を少しブラせてみたのもとても効果的でした。
ルーク・オザワ
雨上がりはイルミネーションの光が下にも写りこみ、晴れている日の倍、美しいことを知って捉えた作品ですね。シルエットのカップルも効いています。
チャーリィ古庄
飛行機が入っていない写真の中では、ピカイチの作品でした。構図や色もステキですが動きがあるカップルが程良い位置に入っていることによって作品のレベルが更に上がっています。一般の写真コンテストでも十分通用する力作です。
特別賞 (3名)
新海 徳榮さん
Nikon D300
Nikon AF-S VR 70-200mm F2.8G
ISO200 1/800 F13
WB : オート
補正 : Adove Photoshopにてトリミング
撮影場所 : スカイデッキ
伊藤久巳
なんてラッキーな瞬間に747LCFが降りたのでしょう。雨を降らせた雲がまだすぐそこにいるのに、クッキリとした晴れ。リバースが巻き上げた水煙も海面も反逆光の光線に輝きました。
ルーク・オザワ
ベテランならではの作品ですね。雨上がりを狙っての切り取りは流石で、LCFのリバースの絵は初めてみました。
チャーリィ古庄
雨上がりの反射が雪のように白く輝いています。逆光にもかかわらず適度に747のシャドーの部分が見えているのも評価ポイント。あわせて背景にある海のグレーとのコントラストも作品に華を添えています。
伊藤久巳
空港、別れ。空港には旅客機が飛び始めてからずっと繰り返されてきたドラマがあります。そんな情景を端的に表現しています。画面の切り取り方、バランスが最高です。
ルーク・オザワ
面白い作品です。ワイヤーフェンスがセントレアらしさを醸し出してくれています。空の茜色に対してその他すべてシルエットが効いています。
チャーリィ古庄
日中に同じようなカットを撮影したことがありますが、夕焼けの時はなお良いですね。これほどの人が手を振っている光景もなかなかないので、良いタイミングをしっかり捉えられたと思います。空のグラデーション、機体の位置と大きさも絶妙です。
鈴木 智子さん
Nikon D3S
AF-S Nikkor 500mmf/4GED VR
ISO1600 1/8 F4.5
WB : 色温度2940
補正 : Nikon Capture NX2にて現像、Photoshopでサイズ加工、色微調整後、銀塩プリント
撮影場所 : スカイデッキ
伊藤久巳
この作品の肝はボディの背と腹の赤い衝突防止灯です。数秒に一度閃光するだけのこのライトは、狙いにいかないと撮れません。頭の中でカウントしながらシャッターを切ったのでしょう。
ルーク・オザワ
暗い照明の中、ボディーにきれいに光が回っていて美しいですね。ビーコンライトのタイミングでのシャッターがこの作品の力強さを感じさせます。
チャーリィ古庄
一言、すごいです。500mmレンズを使いスローシャッターで流すとはプロ顔負けの作品で、後処理もお見事。機体の質感が上手く表現されていますし、エティハドのロゴにしっかりピントが来ています。
セントレア賞 (6名)
牧野 精一さん
Nikon D3S
AFS 10.5mm
ISO6400 1/30 F4
WB : AWB B5.0
補正 : Nikon Capture NX2にて現像、Photoshopでサイズ加工、色微調整後、銀塩プリント
撮影場所 : スカイデッキ
伊藤久巳
漆黒の闇に浮かびあがった海上空港「セントレア」の夜の情景が余すところなく表現されています。1機の真正面にカメラポジションを置き、しっかりアクセントとして使いました。
ルーク・オザワ
国際線に珍しくJALの3機種が並んだところを逃さず捉えましたね。屋根の光を上手く捉えてセントレアらしさを出しています。
チャーリィ古庄
良い目を持っています。ここで魚眼を使うとは想像も付きませんでした。計算なのか結果なのか、屋根にはオレンジの光が輝きステキな空間演出になっています。作者はJAL3機並びを見せたかったようですが、機体よりも構図とアイデアが気に入りました。
酒井 弘明さん
Canon EOS 50D
Canon EF24-105mm F4L IS
ISO200 1/500 F10
WB : オート
補正 : 補正なし・トリミング
撮影場所 : スカイデッキ
伊藤久巳
国際線機材がズラリと並ぶ瞬間を逃しませんでした。1機でも多くと、ブロックインしている機体の向こうに、さらに滑走中の1機をあしらっています。並びを撮る思いが伝わります。
ルーク・オザワ
ヒコーキが並んだシーンは多くの応募がありましたが「抜け」と「光」が一番美しかったです。すべて双発機なのが時代を感じさせますね。
チャーリィ古庄
応募コメントに「双発機が5機揃いました」と書かれてあり、なるほどと思いました。作品が美しいのは言うまでもありませんが、作者の狙いがはっきりしている点が表れています。
延原 真さん
Nikon D3X
Nikon AF-S 200-400mm F4G ED VRII
ISO3200 1/3 f4(+2/3補正)
WB : オート
補正 : Nikon Capture NX2を使用。RAW撮影データに彩度、シャープネス、コントラストなどを補正
撮影場所 : スカイデッキ
伊藤久巳
超スローシャッターがバックの路面を劇的に仕上げました。濡れた路面の反射をきちんと計算した勝利。キャビンからも灯が漏れ、家路を急ぐ人の安堵感が伝わってくるようです。
ルーク・オザワ
シャッター速度1/3秒での流し撮りとは凄いですね。その勇気に感服です。またエンジンの先端をフレームインしたことでバランスがとても好いです。
チャーリィ古庄
数ある作品の中で最も目に留まった作品でした。流し撮りにバックの黄色の輝きとキャビン窓から漏れる明かり。1/3秒というシャッター速度でよくぞここまで止めました。
荒木 暉
Canon EOS 5D MarkII
Canon EF100-400mm f/4.5-5.6L
ISO200 TV1/250 AV16
WB : オート
補正 : DPP 太陽光 風景
撮影場所 : 常滑市熊野町
伊藤久巳
思い切って天を多く入れ込んだ構図が、ここは空の玄関だと強く語っています。加えて、縦横の直線による造形が多い中、機体と管制塔には 曲線部分が集中し、見事に浮かび 上がりました。
ルーク・オザワ
対岸からはよほど抜けが良くなければ辛いところですが、素晴らしい日に狙いましたね。まるでジオラマのような作品です。
チャーリィ古庄
晴れていて視程が良い日の写真は見ていて気持ちが良くなります。この作品は構図の勝利です。もちろんANA777機の位置、シャッターチャンスが良いのは言うまでもありません。また対岸からというのも斬新です。
千達 哲史さん
Nikon D700
AF-S VR Zoom-Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6(IF)
ISO400 1/2000 f8
WB : 自動
補正 : Nikon Capture NX2で、2段階のヒストグラムを表示しトーンカーブで純黒と純白が存在するように調整、露出補正をマイナスに、コントラストをプラスに、コントロールポイントを使用し背景部の明るさとコントラストを調整、W4切のサイズにトリミング
撮影場所 : スカイデッキの先端部
伊藤久巳
余分な露出を切り詰めると、見事に白い機体が浮かび上がりました。周囲は太陽を雲が覆って黒い影を作っています。斜めに光る舗装面には機体ノーズ影が効果的に映りました。
ルーク・オザワ
面白い光ですね。なかなかこういう光には巡り遭わないものですが、うまく捉えました。バックの山になだれ込む雲も好いです。
チャーリィ古庄
ちょっとプリントが暗めでメリハリに欠けるのですが、色味を直せば誌面で映えるという事でセレクトしました。この作品はなんと言ってもバックの山にかかる雲でしょう。機体だけでなくその日の状況、景色、雲などにも目が行き届いています。
岩月 利行さん
Nikon D300
AF-S Nikkor 70-200mm F2.8G ED VRII
ISO250 1/1000 F250
WB : オート
補正 : トリミング
撮影場所 : スカイデッキ
伊藤久巳
着陸したジェット機はエンジンを逆噴射させてブレーキとして使う。そんな説明がこの作品の中で語られています。雨を見事に利用し、機体の部分が明るいことも印象的です。
ルーク・オザワ
雨天でのリバースの瞬間は良くある光景ですが、この作品は一味違います。機体全体に柔らかい光があることで、メリハリのある作品になっています。
チャーリィ古庄
ナイスタイミングを捉えました。ここまで派手に水しぶきを上げるのもなかなか無いと思います。全体的に暗いトーンですが芝生の緑、尾翼の青が海のグレーとのコントラストで一段と映えています。
総 評
伊藤久巳
写真には撮影した人の思いが刷り込まれる。かっこいいと思って撮れば、かっこよく写り、綺麗だと思って撮れば、綺麗に写る。それ以外の思いだって、すべて画面に浮かびあがってくる。今回、審査を担当させていただいて強く感じたことは、作者それぞれがセントレアで撮る飛行機、セントレアで撮る空港施設と いうものに明らかに感情を持って接していることだ。飛行機や地上施設の写真は、ただ撮っただけでは無機質なものになりがちだが、ご応募いただいたすべての作品で、そのようなものは皆無に近く、ほとんどが「セントレアってこんな空港なんだよ」「セントレアの飛行機にはこんな表情があるよ」と僕に語りかけてくれた。ただの旅客機写真を集めたのではない。セントレアという一つの空港で日々展開するドラマを まとめ上げた結晶がこの12枚だ。その1枚1枚には撮影した本人の思いの強さ、情景への感動など、さまざまなものが交錯している。それぞれ1枚でもすごいのに、12枚が一緒になるとこんなにも大きなパワーとなることを実感している。表現の手段は実にさまざま。気持ちだけでなく、各々撮影コンテをきちんと練り、それを技術に裏打ちされた撮影で具現化していく。そんな実に細かい作業が行われた計751点の応募作品を前に、いつものように真剣勝負で審査に臨んだ。大きなパワーを投げかけてくる作品群に何度も何度も圧倒されながら、しかしコンテストの命題である規定数への絞り込みを確実に行なっていかなくてはならない。苦しんで苦しみ抜いた。ルークもチャーリーも思いは同じはず。涙を飲んで選外とさせていただいた秀作は数知れずあった。本コンテストのレベルは今や素晴らしい高みにある。これを支えてくれているのは、紛れもなくご応募いただいた作品すべてだ。1点1点心を込めて撮影して処理にあたり、丁寧に梱包し、送っていただいた皆さんのお気持ちに尊敬の念を抱くとともに、感謝の言葉を捧げたい。どうもありがとうございました。
ルーク・オザワ
今年もまたこの時期がやってきた。例年、伊藤氏と2人で審査を行ってきたが、今年からチャーリィ古庄氏も加わった。プロが3人も揃うと、意見の相違からなかなか決まらないのではないかと懸念したが、いざ始めてみるとその心配は消えた。応募作品のレベルの高さがうかがい知れ、我々3人の「いいねえ」という声が次々と上がったからである。僕は選ばれた12名の方々は、すべて「こだわり」を持ってシャッターを切ったことを感じた。そしてそれが僕らに伝わったのだと思う。限られたスペースならではの作品作りにこれからも期待しています。
チャーリィ古庄
初めて審査に参加させていただいたが、応募点数の多さに驚いた。恐らく日本では最上級のヒコーキフォトコンだろう。そしてレベルの極めて高い。撮影ポイントが多いとは言えない海上空港、それも「セントレアで撮影したもの」という制限付きで、よくぞここまで努力し撮影されていることに驚いてしまった。全応募作を見せていただいたが、フォトジェニックな夕景・夜景が特に多く、これらは応募者が多いので審査員の目もより厳しくなる。もちろん昼間の写真なら審査が甘いという訳ではないが、気持ち良く抜けた青空の作品がもっとあればと思った。逆光の時間が多い空港なので難しいのかもしれないが。また応募作品の中には制限区域内ツアー中に撮影したものもあり、今後、新たなアングルからの作品が見られるかも、という次回の楽しみもできた。
伊藤久巳
斜光を浴びて747の造形が際立ちました。大胆にノーズの上半分を切り取り、その中で細かいディティール、リベットが実によく再現されています。夕陽の赤い光線もとても印象的です。
ルーク・オザワ
色目といい、シャープさといい、気持ちの良い作品ですね。そして決め手はデルタのロゴと 747を選んだことでしょう。美しいです。
チャーリィ古庄
実際は白いデルタの機体なのにゴールドメタというか、NW時代のシルバーを思わせる 色合いが絶妙です。これも色温度の微妙な設定、経験の結果でしょう。 747の特徴を捉えたアッパーデッキの切り取り方にもムダがありません。