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2012年入賞作品

各年度の入賞作品

2012年

最優秀賞 (1名)

牧野 精一さん

Nikon D3
Nikon Ai Nikkor ED 600mm F5.65(IF)
ISO320 1/200 f8
WB:オートA4
補正:Nikon Capture NX2にて現像。Photoshopでサイズ加工、色調整後、銀塩プリント出力
撮影場所:スカイデッキ

伊藤久巳

人を驚かすことが写真の成功の第一歩です。スカイデッキにテストフライトするボーイング787を一目見ようと多くの人が押しかけました。その両方を抜群のカメラアイで組み合せました。すばらしい機体と人の「間」です。

ルーク・オザワ

訓練中の787。誰もがスカイデッキ先端からその雄姿を撮るが、あえて構図を引き、人だかりとフェンスを前ボケでメリハリをつけて機体を浮き上がらせました。計算されたようにピタリの位置に収まりましたね。素晴らしい。

チャーリィ古庄

787がどこで上がるかも分からないのに賭けに出たが、見事に成功。立ち位置が素晴らしい、人と違った視点、セントレアらしさを出しながらもスローシャッターで動感を表現しているところに、我々は唸るしかなかった。

優秀賞 (2名)

延原 真さん

Nikon D300
Nikon AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED
ISO200 1/800 f8
WB:オート
補正:Nikon Capture NX2でRAW撮影データに彩度、シャープネス、コントラストなどを補正
撮影場所:スカイデッキ

伊藤久巳

787の機体を運ぶ747LCFはセントレア名物ですが、その太い機体が落とす大きな大きな影に注目してください。影の大きさが、787の胴体や主翼をお腹に収めていることを物語る夢のある作品です。

ルーク・オザワ

インパクトの強い作品ですね。まるで絵画のような仕上がりです。よほど空気が澄んでいなければこうはいきません。空、海そして芝が美しい。またLCFを後ろから捉えたことでピンとした垂直尾翼が好いですね。

チャーリィ古庄

毎年747LCFの作品は応募が多く審査員も悩むが、逆光で影を活かしながらも、しっかり露出設定をした上でHDR調の仕上がりになるように調整した点が評価できる。芝生の輝き、ちょっと派手めでキレイですねぇ。

車川 浩司さん

Nikon D700
Nikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
IOS200 1/3000 f2.8
WB:曇天
補正:コントラスト増強、露出アンダー補正
撮影場所:臨時駐車場

伊藤久巳

夕焼けに浮かび上がる747LCFのバックショット、までは誰もが思いつく撮り方でしょう。でも、画面左にはテールドアを開閉する地上車両に、747LCFの機体を見つめる目がありました。画面が最高に引き締まりました。

ルーク・オザワ

茜色の夕焼けに染まる西の空に駐機中のLCFがシルエットでも誰もがわかる立ち位置は作者の意図するところでしょう。なにより左側のローダーで作業中の人影がこの作品にドラマ性を与えています。

チャーリィ古庄

昨年と作風が似ており正直、賛否両論があったが、純粋に作品を評価するという視点で見て、やはり輝く夕空と機体のシルエット、光と影、雲の全てが見事で目を引いた。

特別賞 (3名)

神谷 美紗紀さん

Nikon D4
Nikon AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II
ISO200 1/1000 f7.1
WB:晴天
補正:Nikon Capture NX2のレベル補正の黒点、白点を狭めた
撮影場所:スカイデッキ

伊藤久巳

逆光の離陸ですが、機体の輪郭に反射が綺麗に入ってディテールが浮かび上がり、そのバックにちょうど黒い雲がありました。この雲を通過してしまう一瞬の間に確実にシャッターを切れたことがすべての作品です。

ルーク・オザワ

バックの雲の表情が好いですね。中央の暗く落ちている、まさにここにヒコーキがほしいというところにピタリと機体が飛び込み、逆光を浴びているのが印象的です。作者の達成感を感じました。

チャーリィ古庄

私イチ押しの作品。すぐ目に留まりましたがセントレアらしさという点では意見が分かれました。露出も申し分ないデータで画像処理も見事です。ここまで腕がある方ならさらに上位を狙える可能性もあります。

鈴木 智子さん

Nikon D3S
Nikon AF-S NIKKOR 500mm f/4G ED VR
ISO500 1/640 f10
WB:オート
補正:Nikon Capture NXにて現像。Photoshopでサイズ加工、色微調整後、銀塩プリント出力
撮影場所:御嶽神社展望台

伊藤久巳

何ということでしょう。宝石箱の中にボーイング777が入っています…。おっと間違えました、セントレアでしたね。空港島を望む高台を見つけたこと、海が光る一瞬を見逃さなかったことがこんな秀作を生みました。

ルーク・オザワ

対岸から超望遠を使っての作品。距離があるので視程が良くなければこうはいきません。西に沈む夕日の位置が日ごとにずれるのも計算の上での構成ですね。タイミング良く大きさ的にもバランスの良い777が好いです。

チャーリィ古庄

ヒコーキ写真という視点で見ればセオリー通りではありませんが、セントレアらしさという視点では斬新な絵だと思います。見慣れないポイントから撮影したという努力も評価できますし、プリントの色合いがとても美しく感じました。

岩月 利行さん

Nikon D700
Nikon AF-S NIKKOR 28-300mm F/3.5-5.6G ED VR
ISO200 1/30 f36 -0.7EV
WB:オート
補正:トリミング
撮影場所:スカイデッキ

伊藤久巳

主翼もしなやかに離陸するA340-600のとても魅力的な姿です。スローシャッターで動感を表現しつつも、遠く雪を抱いた鈴鹿山脈を入れ込むことを忘れませんでした。確かなフレーミングが光ります。

ルーク・オザワ

動きが感じられてとても好いです。A340-600のリフトアップの瞬間、翼のしなりも捉えられています。光線も美しいですね。日によって使用滑走路や離陸ポイントが変わるヒコーキ写真ですが、この日は最高の位置でしたね。

チャーリィ古庄

斬新なチャレンジです。斜め後ろという厳しい条件ですがシャッター速度1/30により見事に機体全体を止めています。ただし絞りすぎで回折現象が起きていると思われるので次回はNDフィルターの使用をお勧めします。

セントレア賞 (6名)

久野 直哉さん

Nikon D7000
Nikon AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)
ISO100 1/320 f7.1
WB:晴天
補正:Nikon Capture NX2 コントラスト
撮影場所:スカイデッキ

伊藤久巳

8機もの色とりどりの国際線用機材。そのすべての国籍が違うんです。これを狙いにいくアングルも泣かせます。全機の機体すべてを入れ込むのではなく、適度にフレームアウトさせてギッシリ感を再現しました。

ルーク・オザワ

スカイデッキにさえ行けば撮れそうな作品ですが、意外とそうではないのです。時刻表を調べれば毎朝多くの飛行機がスポットインしていますが、いつも同じスポットとは限りません。この日は尾翼が重ならずに整列しているのが素晴らしい。

チャーリィ古庄

朝のセントレア名物ですが、ここまでバリエーション豊富なのは見たことがなく、機体の位置が見事です。尾翼を強調するフレーミングも素晴らしいと思います。撮れそうで撮れない写真がこれでしょう。

荒木 暉さん

Canon EOS 5D MarkII
Canon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM
ISO200 TV1/400 AV22
WB:オート
補正:Canon DPP使用。太陽光 風景 コピースタンプ トリミング
撮影場所:常滑市小脇公園

伊藤久巳

雲が浮かぶ空、その切れ目から海に午後の太陽が差し込みます。そこには何とランウェイ36オンファイナルの機体がいるではありませんか。画面のトーンを制限して単調化することにより、機体が際立ちます。

ルーク・オザワ

対岸からのショットですがあえて超望遠を使わずに輝く海を表現し、進入灯と機影はワンポイントにすることでとても絵画的に表現されています。作者の思いである「長閑な旅情」を感じる作品ですね。

チャーリィ古庄

日の丸構図、機体が737で画面に対して小さい、機体がもう少し手前なら…、と審査員の間で少々話が出たが、淡いトーンでまとめられた美しい作品。コントラストを上げすぎず水平視程、海の反射も美しい点に目を奪われた。

本多 広和さん

Canon EOS 7D
Canon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM
ISO200 1/2000 f9.0
WB:オート
補正:Canon DPPでRAW現像。コントラスト、明るさ補正
撮影場所:スカイデッキ

伊藤久巳

787訓練空港の一つに選ばれたセントレアには、ここから巣立っていった787が何度も飛来した。特徴あるボディのフォルムや翼形、エンジンカバーをシャッターでねじ伏せた必死さがとてもよく伝わります。

ルーク・オザワ

787の特徴がここに集約されています。流線型のコクピット、エンジンカウルのシェブロンカットノズル(ギザギザの形状)、主翼先端のレイクドウイングチップの形状、さらにJALのロゴがきれいに収まっていますね。

チャーリィ古庄

仕上がりを予期しながら暗めに撮影してアンダーに画像処理を行なうという計算された作品。ポイントはシャッターのタイミングで翼の特徴が見事に表現できている点。セントレアらしさという点がさらに表現できれば尚良いだろう。

田中 勝志さん

Canon EOS 5D MarkII
PENTAX A-645 600mm F5.6 アダプター使用
ISO200 1/1250 f11.0
WB:太陽光
補正:Canon DPPにてトリミング後、Photoshopにて微調整
撮影場所:常滑市白山町 みたけ公園

伊藤久巳

おそらくこの瞬間を何時間も、いや何日も待ち続けたのでしょう。名鉄空港特急「ミュースカイ」、大型輸送船、そして飛行機というセントレアで見られる乗り物たちが絶妙の位置に勢ぞろい。白と青の色もお揃いです。

ルーク・オザワ

絶妙なタイミングを捉えましたね。電車とヒコーキ絡みの作品は多々ありましたが、この作品は群を抜いていました。狙ってもなかなか撮れないヒコーキと電車ですが、さらに船も入っています。そしてブルーでの統一が素晴らしい。

チャーリィ古庄

写真は引き算なので通常、ごちゃごちゃしている絵は嫌われますが、逆にこの作品は超望遠レンズの圧縮効果により、楽しく感じられます。ヤシの木のような樹木も季節を表現していてワンポイントです。

奥田 隆行さん

Sony α900
Sony SAL70300G
ISO200 1/400 f8
WB:5000K(PLフィルター使用)
補正:Photoshop Light Roomにより、コントラストと彩度の調整
撮影場所:スカイデッキ

伊藤久巳

ボーイング747、それを改造した747LCF。そんな大きな飛行機が飛ぶセントレアですが、頭上にはもっともっと大きな夏空が広がりました。夏らしい雲がともに表現した底抜けの青空がとても魅力的です。

ルーク・オザワ

セントレア2回目にしてこの空に出会える作者は幸運です。空の表情がまさに「夏」カレンダーにはうってつけ。衰退傾向のジャンボ2機の絡みが好いですね。

チャーリィ古庄

カレンダーにふさわしいカットと言えばこれでしょう。本フォトコンはカレンダーに採用される点が大きなポイント。季節感が少し表現しにくいセントレアですが、これは見るなり、7月か8月に決まり!となりました。

松田 寛詞さん

Canon EOS 40D
Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
ISO400 1/800 f6.4
WB:4800K
補正:ホワイトバランスを5450Kにし、リサイズ
撮影場所:セントレアホテル12階客室

伊藤久巳

スカイデッキを写し込めるホテルの一室。実際にそこに陣取って撮影した勝利です。機体を入れても少し余ったバックを、ちょうど通りかかった輸送船が補いました。海面までよく見てフレーミングしています。

ルーク・オザワ

セントレアホテルの部屋から、これは新しいポイントですね。スカイデッキから見るより海の幅が断然厚みがあります。作品もデッキと離陸する機体を入れてセントレアらしさを表現できています。

チャーリィ古庄

「写真は審査員を驚かせた人が勝ちです」。「どこから撮ってるの?見たことのない」と思わせる点、さらに海上やデッキでセントレアらしさをしっかり表現していたのがポイントです。

総 評

伊藤久巳

毎年、同じセントレアで撮れという難題を押し付けているにもかかわらず、構図に窮していくどころか、バリエーションがますます広がっています。場所の選定はもちろん、時間帯や機体とともに扱うモチーフなど、多くの方々が真剣にコンテを練り、真剣に撮影に取り組んでいただいている証でしょう。その中から12枚だけを選び、それ以外の秀作群をすべて選ばないという非常に辛い作業が、その審査です。おかげさまで、今回もこんな秀作揃いとなりました。

ルーク・オザワ

今年もまたこの季節がやってきました。締め切りを早めたためか応募数は減少気味でも、レベルは格段に上がっていることを感じました。応募、入選される方がほぼ常連の方達というのも印象的でした。応募者の皆さんは、この1年間で何回空港に足を運んだのでしょうか?一度や二度で撮れる作品では無いでしょう。セントレアの撮影環境、光を計算した上での立ち位置、予想・予測をしたポイント移動。これで結果が生まれます。これからもさらなる秀作を期待します。

チャーリィ古庄

膨大な数の作品から入選するには、最低3つの要素がないと審査の土俵に乗りません。(1)撮影時の的確な露出、(2)スパイス程度のやりすぎない画像処理、(3)美しいプリント。その上で新鮮な構図、絵の美しさ、驚きなどどれか一つでもあれば最終審査近くまで残ります。今回も常連さんが多いですが、皆さん基礎がしっかりしています。ただ行って撮りましたという作品ではダメです。来年は常連さんを破る作品を期待しています。