最優秀賞 (1名)

荏原裕典さん
Nikon D500
Nikon AF-S DX Nikkor 18-105mm f/3.5-5.6G ED VR
ISO125 1/1250 f14
WB:晴天 補正:Nikon ViewNX-iでトリミング、明るさ、輪郭強調を調整
撮影場所:スカイデッキ
優秀賞 (2名)
近藤美穂さん
Nikon D5
Nikon AF-S Nikkor 200-400mm f/4G ED VR II
ISO320 1/1000 f6.3
WB:オート 補正:Adobe Lightroom、Nikon Capture NX2で色調整、トリミング
撮影場所:スカイデッキ
ルーク・オザワ
セントレアカレンダーに欠かせないのが747LCFですが、毎年応募数が最も多く激戦となる中、この作品を選びました。タッチダウンで舞い上がる白煙が逆光気味で浮き上がりましたね。機体に寄らず背景の霞んだ山と空が印象的でした。
伊藤久巳
747LCFの重量感あるランディングシーンの表現にとどまらず、セントレアのある伊勢湾の空気感まで深く写し込んだ。海の緑、陰になった山の青、夕焼け空の赤の3色の表現は絶妙といっていい。しかし747LCFの重量表現に置いた軸足はしっかりとブレていない。
チャーリィ古庄
いつもながら747LCFの作品は多くの応募がありますが、凝りすぎていたり、無理な画像処理をしていたりするものも多々ありました。実はこの作品は最終選考に残っていたLCFの写真にノイズが多く見られたため、敗者復活で選ばれました。理由は授賞式でお話しします。
井上貴智さん
Canon EOS 7D MarkⅡ
Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
ISO250 1/800 f5
WB:オート 補正:Canon Digital Photo Professionalで明るさ、シャープネス補正
ルーク・オザワ
線が綺麗ですね。上下の濃紺の海に白い空港がまるでデザインされているように見えます。遠くの対岸の街並みもクリアで効いています。そして何より手前の緑と碧い海、さらにその下の集落を入れたことで作品が引き締まっています。新鮮な構図でした。
伊藤久巳
セントレアを挟む伊勢湾の人々の生活感まで表現してみせた。人が存在しなければ、セントレアも飛行機も存在しない。そんな当たり前のことを再認識させてくれる作品だ。空港島と機体をやや明るめに表現して、景色の中に浮かび上がらせている点も見逃せない。
チャーリィ古庄
とても素晴らしく最優秀賞にするか議論された作品です。絵作りもうまく、今まであまり見たことがないワイドな絵で新鮮さがインパクトを与えました。気になるのが撮影データ。絞りF5とありますが、この数値が正しければ被写界深度を上げるため、さらに絞り込んだ方がいいでしょう。
特別賞 (3名)
八木和貴さん
Nikon D7200
Nikon AF-S Nikkor 300mm f/2.8G ED VR II
ISO320 1/25 f4
WB:5260K
補正:Nikon CaptureNX-Dで現像。Neat Imageでノイズ調整、Adobe Photoshopにて各部調整
撮影場所:スカイデッキ
ルーク・オザワ
こう来ましたか。おそらく肉眼でこうは見えていないはずが、カメラの露出を操作することでスチル写真ならではの表現をされています。まさにベテランの技を感じた作品です。
伊藤久巳
望遠レンズにスローシャッターという、相反する要因を高い次元でシンクロさせた。海面の露出で表現すれば機体がシルエットにつぶれてしまうところ、インボード・アプローチライトと垂直尾翼の照明で補ってみせている。
チャーリィ古庄
流し撮りの技術はピカイチ。色の美しさもいい感じ。ただし本人の責任ではないのですが、セントレアの場合、離陸する位置の問題で海の写る残照のところに機体が入らないと、後ろの堤防と光が当たらないボディ下部付近が黒くかぶってしまうのが残念。もう少し早く離陸していて、オレンジ色の残照の中に飛び込んでいたら、さらに上位を狙えました。
相原一郎さん
Nikon D4
Nikon AF-S Nikkor 200-500mm f/5.6E ED VR
ISO400 1/1500 f11
WB:オート 補正:Adobe Photoshopで現像後にNikon Capture NXで部分補正
撮影場所:スカイデッキ
ルーク・オザワ
狙いましたねー。A320は777や787に比べれば小型機ですが、こうみるとやはり飛行機だけに大きいです。そのサイズ感を表現するために望遠効果で圧縮し手前に人のシルエットで入れたことが効いています。
伊藤久巳
狙いは鮮明。実に作者の注文どおりの作品になったことだろう。雲の多い夕景の下、柔らかな光線を素直に画面上に表現し、飛行機が間近に見えるスカイデッキの楽しい雰囲気を余すところなく伝えている。
チャーリィ古庄
これを撮るまでに3日かかったそうですが、お見事です。セントレアらしさが凝縮されています。機体の絶妙な位置、それにサブの被写体としてのカップルが重要なポイントでしょう。もちろん空の色もいい雰囲気です。
西本静香さん
Nikon 1 J5
Nikon 1 Nikkor VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM
ISO4500 1/30 f3.5
WB:オート
補正:Adobe Lightroom Classic CC 7.3.1。撮影シーン:夜景、トリミング、露出補正。
撮影場所:スカイデッキ
ルーク・オザワ
飛行機フォトコンテストとしては、この作品は賛否両論ありますが、セントレアのカレンダーになる作品なのでこれはアリです。発想勝ちで、狙いもまた素晴らしい。ひと目でセントレアと判断できるし、捉えた夜がまた良いです。
伊藤久巳
ひとえにコンテの勝利だ。どうやったらおもしろく写るのか、楽しいのか、試行錯誤した結果だろう。主題の787を大きく表現するのではなく、見事にクローズアップしてみせた。指に光を当てず控えめにした点もいい。
チャーリィ古庄
フォトコンテスト初応募で、このアイデア、フレーミング力があるとは、これまで他の写真撮影の経験がある方だと推測します。他にも眼鏡を使ったものなど複数枚の応募がありましたが、嫌味がなく作品としておもしろいこちらを選出しました。
セントレア賞 (6名)
奥村直之さん
Canon EOS 7D MarkⅡ
Sigma 120-300mm F2.8 DG OS HSM
ISO400 4sec f5.0
WB:オート
補正:Adobe Lightroomでトリミング、色温度、ヒストグラム修正
撮影場所:スカイデッキ
ルーク・オザワ
気持ちの好い夜景ですね。主題が流れているようで実は流れているのは背景の機体。これをうまく利用しています。流れる色がブルーというのも効いています。ただ僕なら、もう少し機首部分に余裕が欲しかったかな。
伊藤久巳
きらきらと輝く綺麗な機体。だが、それを自分の機体の色だけでなく、グランドスタッフや背後のトラフィックなど周囲にある光によっても表現した。光の反射と影で787のディテールが鮮やかに表現されているのもいい。
チャーリィ古庄
時間が遅いためエティハドの出発シーンの作品はあまり送られてきません。この作品はシャープさだけでなく、後ろの機体を流していることにより色のメリハリができました。機内の中まではっきりと見える露出、ボディを切った位置。お見事です。
松尾明憲さん
Nikon D500
Nikon AF-S DX Nikkor 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
ISO180 1/1000 f8.0
WB:オート 補正:コントラスト調整
ルーク・オザワ
毎年必ず選出されるいわゆる「並びショット」。電車と違って撮影日や時間によるズレでそのタイミング選びは難しいです。今回も多くの応募がありましたがダントツの配色で選ばれました。一番手前のジンベイジェット。これが効いています。
伊藤久巳
さまざまな航空会社の機体が集うセントレア。そんなストレートな表現もまた真なり。各社のボディ、垂直尾翼、ウイングレットのマーキングが楽しい。飛ばさないギリギリの白の表現がまた見事でもある。
チャーリィ古庄
毎年定番の国内線機並びショットですが、今年はこれが断トツでした。飛行機の種類の多さはもちろん、キレイに撮影できています。立ち位置、ボーイング737-800の3機並び、こういう写真を撮りたいですねー。
西尾尚姫さん
Nikon D600
Nikon AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR
ISO800 1/3200 f8.0
WB:オート 補正:Adobe Lightroom
撮影場所:AIR DO B737機内
ルーク・オザワ
爽やかな気持ちの好い日に旅立ちましたね。窓越しとは思えないほどのクリアさ。好い場所でエアボーン。眼下に777とターミナル、管制塔がセントレアらしさを出しています。ウイングレットの黄色と青空も好いです。
伊藤久巳
離陸する機内からのショットは、画面中央、縦一直線に管制塔と大型機の777、そして自分の機体のウイングレット、それも特徴あるベアドゥが写し込まれ、画面に絶妙な重心が生まれた。エンジンブラストも綺麗に避けた。
チャーリィ古庄
エアドゥ機の離陸中のベアドゥ、下の機体はANAの777なのでサイズ感もいいです。天気、ベアドゥが見える座席位置、光線と視程も良く、運を味方につけたのに加え管制塔の位置などタイミングもお見事です。水平がしっかりとれているのも高評価です。
伊場一幸さん
Canon EOS 5D Mark III
Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
ISO320 1/1000 f10
WB:オート
補正:Adobe Lightroom Classic(色温度、露光量、コントラスト、シャドウ、色の濃さ)
撮影場所:スカイデッキ
ルーク・オザワ
好い空ですね。滅多に現れませんが、この状況は大好きです。幅の狭い最高の位置にA330が飛び込んできた瞬間、見事に捉えました。輝く雲や海、そしてシルエットの船や対岸の工場群も効いています。
伊藤久巳
さざ波立つ伊勢湾、上空には連なった雲。その間のパーシャルの部分に離陸する機体を納めたことが大きい。黄をやや強くした独特の色使いで、晴れてはいても風が強い天候の厳しさを伝えようとする意図が浮かぶ。
チャーリィ古庄
後ろの雲のトーン、波打つ伊勢湾、まずこの露出がポイントです。さらに雲と海の間に置いたデルタ航空の機体の位置が絶妙です。影の部分を不必要に明るくせず的確なトーンにしていることも入賞のポイントでしょう。
伊賀上 明さん
Nikon D500
Sigma APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM
ISO800 1/1000 f16
WB:オート 補正:Nikon View NXにてコントラスト、明るさを調整し現像
撮影場所:スカイデッキ
ルーク・オザワ
カレンダー用のセレクトですので季節感は必要です。そういった意味で雪のシーンは必ず入ってきます。絶妙な背景にエアボーン。透明感もある空気からも冬らしさを感じました。
伊藤久巳
ここまで視程がよければ、あとは何もいらない。晴天、順光で素直に撮ればいい。私が思うことを地でいっていただいた作品だ。機体のボディ部分で隠れたところはほとんど皆無だということを忘れてはならない。
チャーリィ古庄
冬の冷たい空気が感じられるようなクリアな写真です。超望遠レンズを使用した圧縮効果がお見事でエンジンのブラストもいい位置で表現できています。冬のスカイデッキは強風の日も多いですが、そんな中での力作を評価したいと思います。
榛葉 広さん
Canon EOS 7D MarkⅡ
Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
ISO100 1/800 f7.1
WB:オート
補正:Adobe Photoshopでサイズ加工、色調整後、銀塩プリント出力
撮影場所:駐車場
ルーク・オザワ
数点、似たような応募作品がありましたがこれに決めました。青い空が気持ち好く、ひと目でセントレアの管制塔、そしてLCFだとわかるのでカレンダーにはうってつけです。
伊藤久巳
747LCFに管制塔VFRルーム、セントレアの特徴である両者を画面に入れることで勝負を挑んだ。VFRルームの切り取り方、LCFの大きさと位置は完璧。とっさの判断でこの構図を選んだ判断に敬意を表したい。
チャーリィ古庄
類似カットが複数ありましたが、作品展示や掲載時にきちんと色が出るかなども考慮した結果です。ベテランならではのアイデアです。ISO感度を多少上げて、もう少し絞り込めばなお良かったでしょう。
新人賞(2名)(セントレアフォトコンテスト応募3回目までの方が対象となります。)
畑上照夫さん
Canon EOS 7D Mark II
Canon EF100-400mm F/4.5-5.6L IS II USM
ISO200 1/30 f8
WB:(RAW現像時) 使用フィルター:ND8+16
補正:Digital Photo ProfessionalでRAW現像ののち、Photoshop CS6のNik Collectionでノイズ軽減とシャープネス追加
撮影場所:スカイデッキ
空美賞(1名)(女性の方が対象となります。)
後藤由紀さん
Canon EOS 70D
Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
ISO400 1/2000 f8
WB:オート 補正:Adobe Photoshopにてトーンカーブ調整、色調整、サイズ加工
撮影場所:スカイデッキ
ヤング賞(1名)(小学校4年生~高校生・高専生の方の応募が対象となります。)
西岡優希さん11歳
Canon EOS Kiss X7
Canon EF-S55-250mm F4-5.6 IS
ISO100 1/500 f15
WB:手動 補正:Digital Photo Professionalにてトーンカーブ調整
撮影場所:臨時駐車場
総 評
ルーク・オザワ
今年もたくさんのご応募をありがとうございました。例年のごとく選者はまた、ああでもない、こうでもないと、バトル(?)しつつも決まりました。来年のセントレアカレンダー作品です。今年もセントレアには色々な空があったようですね。選考しながら「ああ、この状況で僕も撮りたい!」と何度も思わされました。一期一会の空への感動を切り取った応募作品に感謝です。ニューフェイスの登場が多かったことも、選者一同驚きでした。応募者に新旧交代の時が来たとなると、選者の僕らもいよいよ一新か?! 笑
伊藤久巳
応募作品群が並ぶ審査会場のテーブル上空は、審査前から作品の放つオーラで、まるで電子戦空域のよう。そこに進入していく我々3人は今年も決死の覚悟、全精力で対峙した。全体としては、画像処理段階のオーバーコントロールが眼に見えて減った。心に感じた色を出せばいいとは思うが、ものには限度があることが理解されてきた証しだろう。そして荏原裕典さんが奇をてらわず、コンテ力とちょっとした工夫、努力で最優秀を勝ち取った。私個人としては、飛行機の迫力の表現というものを念頭に置いた作品が目立ったことも満足している。今年もたくさんの作品のご応募、ありがとうございました。
チャーリィ古庄
今回も数多くの作品をお送りいただき、例年よりもスムースに写真をセレクトすることができた。今回私が特に注目したのは写真の階調やノイズ。つまり撮影時にしっかりとした設定で撮っていないと、画像処理の際にボロが出る、具体的に言うと、無理な画像処理をしたため色ノイズが出る。コントラストを上げすぎて写真の階調が失われ、見た目は派手だが質感がなく、こってりした色味になってしまうなど。特に近年はスマートフォンなどで、派手な色味や彩度の高い写真に眼が慣れてしまっている方も増えているが、我々はそれよりも階調や質感を重視させていただいた。
ルーク・オザワ
「理想的」とはまさにこのこと。真似しようと思っても撮れない作品です。クリスマスに向けてのアーチ設置のタイミング、太陽の位置、そしてそこに飛び込むA320。フルレングスからのテイクオフでもここに来るのを、僕は見たことがありません。絶妙なところに飛び込んできた、まさに最優秀作品です。お見事。
伊藤久巳
これは難しい。針に糸を通すがごとく、機影をピンポイントでやがて点灯するイルミネーションの間に通してきた。またトラフィックの少ない時間帯にあってランウェイをフルレングスで使用しなければならず、とてもハードルが高い中での作品。シャドーを黒くつぶしたローキーも雑多を隠す目的にはとても有効だった。
チャーリィ古庄
機体と太陽の位置、設定、文句なしでしょう!ただ一つ議論の的になったのは、シルエットになっている男性の位置が中央で強すぎること。これが女性や後ろ姿のカップルならさらに完成度は高かったですが、そこまでうまくはいきません。しかしそれを差し引いても、選考段階の初めから「これは最優秀候補か」言われるくらいインパクトがありました。